| 心地の良い木漏れ日の下で、あたしと彼女は居た。 切り株の上でさらさらさら、とペンを進める。その時に、 「まだなのアリスー!?もうこっちは表紙作ったんだけど!!」 「うう……っ」 あたしのペンを持つ手が思わず震える。 耳元で友達の怒る声。 うっわヤバイ、そろそろ本気でストレス。 ここ最近徹夜で描いてたから身体的にもボロボロです……。 # 0 1 , 冒 険 の 幕 開 け そんなあたしの名前はアリス。 自分では普通のか弱い女の子、だと思ってる。ま、まぁ一部を除いては、だけど……。 「あーりーす!!次のイベントで合同本配布しようって言ったのはあんたでしょ〜!?」 「ご、ごめんってばぁ!!だって萌えシチュが思いつかない……!!」 「駄目よ後一週間も無いのよ!?間に合わないじゃないー!!!」 熱く叫ぶ彼女の顔が般若顔に見えた。いや、マジで。 描かないと殺られる……!!でもね、ネタが思いつかないほど苦しいものはないのよ!! ……そう。あたし、アリスは泣く子も黙る新人同人作家なのです。 「あ、あのさぁ、『すみませんでした作れませんでしたごめんなさい次回配布します』って言えば――」 「ばっかもーん!!!アリス、同人作家をなめてるでしょ、ええ!!?」 「で、でもさぁ…!ここまで徹夜したのに出来たのは表紙だけ。中身はからっぽはヤバイわよぉ!!」 「だから描けって言ってんのよ!!」 ああ、もう嫌だ………!ストレスが溜まるわ、ああっあの時あんなことを言わなければ………!!! そんな事を思うが、時既遅し。言ってしまった事を今更悔やんでも仕方が無い。 (とほほほ……!) 泣く泣く思いつかない原稿を無理やり進める。 嗚呼、リアルだわ……。同人作家でこれなんだから、漫画家や小説家はもっと凄いんでしょうね。 きっとあたしのような思いを永遠に続けてるんだわ………!!!あああっ恐ろしい!! 「あーもうアリスはこれだから半ナマ同人作家なのよ!じゃあ私ジュース持ってくるからしっかり待ってるのよ!」 「……はぁーい。」 早足で家にジュースを取りに戻ろうとする彼女にやる気の無い返事を出す。 そ、そうだ!!戻ってくるまでサボっちゃえ!! うん!そうしたら体力も回復するだろうし――って、サボれるわけないよねぇ……。 多分、彼女の事だから直ぐバレる。 (あああヤバイストレスが……!!!) …でもやっぱりちょっとやすんどこ。これ以上描いたら手ぇ腐るって!! そんな事を心の中で叫びながら傍にあった同人誌を手に取る。 「あ、凄いっ、大手さんの本って本屋で売ってそうなくらい綺麗なのよねぇ〜〜……!!」 豪華な100P本をギュッと抱きしめるとほお擦りしてみたりする。 多分傍から見ればあたしってきっと変人だ。でもこの感触たまらない……!! 嗚呼、いつまでもこうしていたい……!!!などと思うが、あまり現実逃避してるとまたあいつが怖いからなぁ。 「ちぇー仕方ないな…大手さんの新刊で癒された所で続き描くか〜……。……ん?」 渋々ペンを握ったその時、あたしの視界に一人の少年が映った。 って言うかその少年を視界に入れた途端、あたしのオタク・アイが稼動した。 走ってきた一人の美少年。ちょっと待って!!やべぇ!可愛いっ!!U・SA・MI・MI!!!?? ![]() 「はう〜〜っ遅刻しちゃう!!急がなきゃあ〜!!」 そして、この口調。 まさに同人女であるあたしから見ればキャラを狙ってる以外の何にも見えないけど、可愛いからヨシ!! あ、ちょっと待ちなさい、そんな天然キャラが走ってると―― 「ふわぁっ!?」 どてーん!!! 「あーあー言わんこっちゃない。大丈夫ー?」 「ううっ、お姉さん何も言ってなかったです!痛かったのです!!えう……。」 「ごめんね、大丈夫??」 「ぐすっ……うう……痛い、けどっ」 涙目になりながらキッ、と可愛らしい目を吊り上げると、男の子は拳を握る。 「へっちゃらへーです!男の子は、こんな事で泣いちゃ駄目なんだから!」 うっわぁ可愛いー!!!抱きしめてあげたいっ!!ショターーーー!!! 「ね、ねぇ君名前は何て言うの?」 そんな下心ありありで訊いてみたけど…、 「ああうっ!遅刻しちゃうよ〜!!」 「オイコラ無視かい。」 「え、ええとね!僕は兎亜(とあ)って言います!またです、お姉さんっ!」 「あ、ちょ、兎亜くんはどこに――」 …どこに行こうとしてるの? そう聞こうとしたけど、その頃にはもう兎亜くんはどこかへ走り去っていた。 ……か、カワイイ。 あんな美少年がこの世に存在するとは思わなかったわ……!! (……ん?ちょっと待って。) ふ、と今度はあたしのオタク脳みそが稼動した。 さっきの子…兎亜くんに付いてけば、もっと美少年にめぐり合えるかも!! こ、これは同人誌のネタに使えるわ!! そうよね!!あいつにも『ネタを調達しに行ってました』って言えばいいし!! よぉし、そうと決まれば…… 「兎亜くーーん!!!待って〜〜!!!」 「ひぃーー!!何ですかぁ!?お姉さん〜〜!!」 ドドドドドとイノシシさんもビックリなスピードを出して兎亜くんに追いつく。 ふふふん、人はこれをオタクパワーと言う。伊達にイベント行ってませんから!! 「うわーーん!!!お姉さんが怖いよぉ〜〜!!!」 「あ、こら待ってぇ!!!あたしも連れてってよぉー!!!」 「怖いお姉さんはお引取りください〜〜!!!」 あ、ちょ…!!こら、今こいつ『怖い』とか言ったわね!? ぬおおお!!!乙女にそれは禁句なんだからあああ!!! 「待ちなさいっうさ耳ーーーー!!!!」 「待ったら僕怪しいお姉さんに犯されちゃうです〜〜!!」 「何だテメェコラ!!カワイイ顔してそんな単語知ってやがる!!!」 「お姉さんその口調既に乙女じゃないですからぁ〜〜!!!」 うさみみ少年を追うあたしと、すっかり怯えて逃げ回るうさみみ少年、兎亜。 それからも追いかけっこは続いた。 +あとがき+ ネタ神が降臨したのでババーっと書いちゃいました。いつまで続くかわからないし、 もしかしたらすぐ終わっちゃうかもしれない、もしかしたらすっげぇ無駄に長くなるかもしれない(大爆笑 そんなアフォなパロディをやっちゃいました。童話のパロディって書きやすくて面白い…!(笑 登場人物はハートの女王を除いて全部美少年を予定中。逆ハーレムな美味しい状況なのに ヒロインがこんなんだから乙女って感じじゃないですね!!(最悪。 |
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