| 「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ………。」 も、もう駄目、走れない………。 足を止め、肩で息継ぎをする。 見回すともう兎亜くんの姿は無かった。…畜生、逃げられちまった!! 「って……ん…??」 不意にここが何処か気になって、冷静に周りを見てみる。 ……あれ、近くにこんな森なんてあったかしら。 って、もしかしてあたしそんなに全力疾走してたの!? そこは確かに初めて見る森。……ああ、ヤバイ、帰れるかなぁ……。 ああ今日は厄日だわ。 カワイイショタ子を見つけたら変な森に迷い込むなんて……。 「……あ、れ??」 不意に近くで笑い声が聞こえて、あたしは耳を澄ませた。 ……誰か居る!しかも数人! よっし、じゃ早速帰り道教えてもらお!! 「すみませーん!誰かいるんですかー?!」 大きな声を張り上げてずかずかと入っていくと、そこで見たものは……… # 0 2 , 森 の お 茶 会 「おめでたいですねぇ」 「年に一度の誕生日じゃない日だもんね。」 「あれれ?でも昨日もやりませんでした?」 「気のせいだよ。あんまり考えると頭馬鹿になるよ?」 「あははっそうですねぇ」 ![]() (な、なんだこいつら………。) また奇天烈な衣装を身に纏う奴ら。 一人は大きな帽子を被っていて、もう一人はまたうさ耳。 二人とも先ほどのうさみみ少年に負けず劣らずまたまた美少年だ。 でもこう、美少年との遭遇が続くと自然と疑ってしまう。 ああこいつらは夢だ幻覚だ。白兎の兎亜くんが可愛かったのもきっと夢なんだ、 なーんって思っちゃったりもして。 あ、視線が合った。 「……ん??何、君?」 緑色の帽子を被った吊り目の男の子があたしを怪訝そうに見る。 ……えーとその前に君達は何をしてるんだ? 木の切り株の上にテーブルクロス広げて、その上にティーカップが三人分。 この帽子っ子と、ピンクをベースにした服を着たうさみみ二号と、もう一人……? 「………あーっ!!!兎亜くん!!」 「はう?お姉さんでふふぁ??」 何か兎亜くんちゃっかり居るし。……くそう、さっき全力疾走したのがまるで無駄みたいじゃねーかっ! 「あむあむ……んぐんぐ……おいひーえふぅ!!」 「兎亜くん、食べるか話すか、どっちかにしましょうね。」 「はーい!」 クッキーを口いっぱいに頬張る兎亜くんに、もう一人のうさみみの子が優しく諭す。 お母さんみたいな優しい言い方に、兎亜くんはにっこり笑って答えた。 うわーーー!!!何だこのやり取りは!!癒される!! 「ねぇ、僕の事無視してんの?あんた。」 「うっさいわねっ今美少年に癒されてたのよっ!!!」 「はぁ?あんた頭の中大丈夫なわけ?」 「ぐぐぐ……!!!」 人がショタっ子のやり取りに癒されている中なんだゴルァ!! 変人を見るかのような目で見てくる帽子の男の子。 駄目だ!!同じ美少年でもあたしこいつ苦手だ!!! しかもこんな低レベルな争いしても時間の無駄だしねっ! ふふん、あたしってばおっとな!! 「ってことで、あたしもう帰――」 「まぁまぁ望花、お嬢さんも…どうですか?お茶でも。」 ………カワイイぞお前っ!!! にこにこ笑いながらうさみみ第二号の男の子があたしに問いかけてきた。うわーかわいいっ!! だからね、仕方なかったのよ!!不可抗力だったのよ!! 「はい、ゼヒご一緒させて頂きます!!!」 ああ、あたしってやっぱり馬鹿だ。真性の馬鹿だ。 ……まぁ前から分かってたけどさぁ……。 「じゃあ決まりですね、そこにでも腰掛けてください。楽にしていいですからね。」 「はぁ、美月ってどうしてそうお人よしなの?こんな奴誘うなんて変わってるよ。」 「ムカァッ!!大体、あたし『こんな奴』でも『アンタ』でもないっての!!アリスって メルヘンで可愛らしい名前があるんだからぁ!!!」 「アリスさんですかぁ、僕は美月(みつき)。で、この帽子の方が――」 「望花(もうか)。ま、仕方ないから宜しくしてあげる。」 にこにこ笑ううさみみくん第二号の方が美月で、 ため息を吐きながら偉そうに言う方が望花と、それぞれ名乗った。 「今日は『誕生日ではない日』を祝う大事な日なんですよ♪」 「……誕生日ではない日???ちょ、それどーゆー。」 「ん〜〜よくわかんないんだけど誕生日じゃないんだけど祝うんです。」 はぁ……?誕生日じゃないのに祝うの??…何か他に祝い事があるの? ……???ま、ますますわかんないよっ!!!なんだこいつら!!!?? 「あんまり考えてると頭ハゲるよ。」 「うわッ腹立つわねちょっとぉ!!乙女にそれは禁句だっつの!!」 「はえ??お姉さん、ハゲちゃうですか??」 「ああ兎亜くんまで話をややこしくさせないでよぉ!!」 「と言う事でアリスさん誕生日じゃない誕生日おめでとうございます♪」 「………はぁ。」 あたし……誕生日じゃないんだけどなぁ。あ、『誕生日ではない日』だからいいのか。 ……って、何か意味わかんない連中だけどとりあえずメルヘンでファンタジーな御伽噺に 突っ込みは不可能って事なのね。 …ん??もしかして兎亜くんの『遅刻しちゃう』って、このお茶会の事なのかしら? 「ねぇ兎亜く――」 「ふぁああああっ!!!!忘れてましたぁあ!!!」 「………え???」 ちょっと気になったので兎亜くんに聞こうとした途端、兎亜くんが甲高い声で叫んだ。 流石真性ショタっ子!!叫び声が幼女のように甲高くて耳が痛くなるわ!! 「どうしたんですか?兎亜くん。」 「僕、忘れてたんですぅ!!はうう遅刻するです!ごめんなさい、もう行くです〜〜っ!!」 「は?ちょ、兎亜――」 望花と美月がそれぞれ止めようとしたが、その頃には兎亜くんはまた猛ダッシュでどこかへ走り去った。 …………しぃん。…一瞬にして辺りが沈みかえった。 「平和ですね〜」 「そうだね」 「……っておいおいその二言で終わらすんかいっ!!」 「やる事もないし、兎亜を追跡するのとか良くない?」 「わぁ、それは名案ですねぇ!アリスさんもご一緒にどうです?」 「……はいはい。」 二人の美少年に手を引っ張られて、あたしは苦笑しながら早足で歩いた。 ……あれ??ちょっと待ってよ。あたし何かこの二人に何かを聞こうとしてなかったっけ? (…んーまぁいいか。) 帰り道を教えてもらおうと思っていたのを思い出したのは、それから約一時間後だった。 +あとがき+ 原作のアリスの絵本を元にパロディしようと思ってたのにあった筈の絵本がなくなっていて 焦りました……!アリスのパロディで、でもあくまでオリジナルをベースに進めていく予定。 続々新キャラが出ます!いかれ帽子屋の望花(もうか)と三月ウサギの美月。 登場人物は殆どキャラ名をもじった感じ♪ 望花→『帽子』の『帽』の読み方他にあるかなって思ったら『もう』とも読めるらしいので適当に。 美月→三月ウサギなので(笑 兎亜→ウサギさんなので うーん当て字大好き!!(マテマテ 次はチシャ猫出せるかな……? |
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