「……はぁ〜〜…。」
思わず、ため息が漏れる。
ため息を吐くと幸せが逃げるって言うけど、別に気にしない。
こんなため息、同人作家ならいつもの事だったもの!
終わらない原稿に。思いつかないネタに。余りに余ってしまったページ数に。
そして一番最悪なのが…頑張って下書きを終わらせた原稿にインクをぼとり……。
(←経験者。

って、辛いあの日々は別に関係ないのよ。
歩いても歩いても、兎亜くんが見つからない。
それどころか道が分からなくなってきている。
「…ねぇ、二人ともぉ。」
そんな現実に耐え切れなくなって、思わず情けない声を出す。
呼ばれた二人……帽子屋の望花と三月うさぎの美月くんはげっそりした顔で振り返った。
なんだか二人ともどうやら、あたしと同じ気持ちを抱いていたようで。
「……敢て何も言わないでくれる?」
「と…とりあえず……頑張って歩きましょう?アリスさん。」
「…………うん。」
森で迷えば、ずっと抜けられなくなるって聞いた事があった。
で、現に迷っちゃってる今戻ることもできない訳で。


「くすくすっ…見てみて。迷ってる人達がいる…。」
「森で迷ったら一生抜けれないのにね…。」
「ばっかみたい…。」
「それが人間ってもんだよ…。」

「「「…………。」」」
森の中で迷って、疲れてストレスが溜まってる中。
なんだか妙に腹立たしい声が私と望花と美月の心に響く。
頭に怒りのマークを浮かべながらゆっくりと、あたしたちは振り返った。




# 0 3 , ム カ つ く 奴 等




「……なんなの?あんた達。」
思わず、呟いた。
目の前にいたのは、小さな双子の美少年。
凄く綺麗な顔立ちで、しかも双子。
これは同人女的にはかなり美味しいキャラなのだが、口調が口調なだけに何故か萌えん。
「人の名前を訊く時は、自分から名乗るのが礼儀なのに…。」
「そんな事もわからないの……。」
「…僕が双真(そうま)で、」
「俺が双菜(そうな)……。」
くすくす。と意味深な笑みを浮かべながら男の子達は笑い続ける。
……なんつー不気味キャラ。っつーかどっちがどっち!?
「混乱してるよ、双菜…。」
「俺達、どっちがどっちかわからないんだね…。」
「ばっかみたい…。」
「わ、悪かったわねー!!こっちが双真でしょ!?」
そう言ってあたしは一人称俺の方を指差す。
……が、指差した後に、気づいた。
「……くすくすっ。あはははっ…。ばっかみたい。真性のお馬鹿さん……。」
「うがー!!!」
その二人の(特に一人称僕の方)腹立たしい態度。
耐え切れなくなって奇声を発すると望花が呆れたようにため息を吐いた。
「君も大概頭悪いね。…こっちが双真だろ?」
そう言って得意げに望花はもう一人の方を指差した。
……が。
「………あはははっ。」
「ばっかみたい……。」
「こっちもお馬鹿さんだね……。」
「お馬鹿集団……?」
「……は?」
明らかに馬鹿にしている二人の態度に、気の強い望花は思わず顔を般若のように歪めた。…うわ、マジ切れだ、あれは。
「……こいつら、いっぺん殺して良い?」
「うん、あたしが許すわ。」

「…殺すって言ってるよ?」
「……物騒だね。」
口々に呟く双子を見て、あたしは困惑した。
…でも、確かにあたしがさっき外れた、ってことは……望花は合ってるんじゃないの?
「違うよ違う…。くすくすっ。こっちの帽子の子が言い当てる前に俺ら入れ替わったんだもん。」
「左右逆にね。」
「「いつの間にだよ!!??」」
「だから言い当てる前って言ったじゃない……お馬鹿さん…。」
いや、明らかにそう言った行動、目に入らなかったんですけど!!
「ねぇ美月くん!!貴方も見てたわよねっ!?」
あたしはそれまで傍観してた美月くんに助け舟を求めた、が…。
「はい……?あ、すみませんーっ僕お茶飲んでいたもので〜。」

肝心な時に使えねぇなおいっ!!!


そう叫ぼうと思ったが、にこにこーと悪意のない笑顔を見せる美月くんを見て、何もいえなくなった。
ああこれだからショタ子は困るのよっ!!可愛くて罪深くてっ!!!
「……嘘だよ。本当は入れ替わってなんかないから。」
「え??あ、じゃあやっぱ望花のが正解?」
「…ううん。そうでもない。」
「……へ??」
良く分からない言葉を呟く二人に、あたしはクエスチョンマークを頭に浮かべた。
そんなあたしの様子を見て、二人はまた馬鹿にしたようにくすくす笑った。
「……君が正解。」
そう言って、双子の片割れがあたしを指差す。
………って、あたしぃ!!??
「は、外れてたんじゃない訳!?」
「理屈はね。…僕って言ってるのが双真で、俺って言ってるのが双菜って言ったあとに、君は一人称俺の方が双真だって言った。」
「俺と双菜、最初嘘吐いて名前を反対にして紹介してたんだ。」
「まさかね、当たるなんて思わなかったけど。」
そう言うと二人はまたくすくす笑った。
……つまり、こいつ等二人はあたしと望花をからかって楽しんでた訳ね。
つ、疲れる双子だわ……っ!!!
「……そんな訳なので。」
二人はあたしと望花…それに美月くんの周りをくるくると回ると、初めて年相応の笑顔を見せた。
「…僕たちが、教えてあげる。」
「…兎亜の行ったとこ。」
「………はー!!??え、ちょ…あんた達兎亜くん知ってる訳っ!?」
「知ってるも何も、さっき会ったし。友達だし…。」
と、友達なんディスカ。…そーいや兎亜くん、さっきは望花と美月くんと仲良く話してたよね。あの二人とも友達…なのよね??
……兎亜くんって、かなり友達の幅広い?ってか、広すぎ?
「…だから僕たちが案内する為ついてってあげる。」
「…感謝してね。」
「あ、結局パーティ増えるんですかぁー♪何か僕、予感はしてましたよ〜。」
「……うん、あたしも。」
にこにこーと笑う美月くんに、思わず苦笑が漏れる。
「…そういえば、名前。」
「…僕らは教えたのに、教えないつもり?」
「あたしはアリスよ。こっちの帽子が望花で、うさみみの方が美月くんよ。」
「……そう。どうでも良いけど。」

じゃあ訊くなよって話なんすけど。

「……じゃあ行こ、アリス。」
「……と、愉快な仲間二名。」
「あ、うん!案内よろしくねー!!」
手を差し伸べてくれる双子の手をしっかりと握ると、あたしは二人と並びながら森の道を歩いた。

「………。」
「…あ、ははー…望花、元気出して。」
「……誰が愉快な仲間だよ……。」
「アリスさん取られちゃったのはショックだね〜。」
なっ!!??べ、別にそっちはどうでも良いけどっ!!!」



(ん?)
かなり後ろの方で望花の大声が聞こえた。
……って、
「望花ぁー!!美月くーん!!何でそんな遥か遠くにいるのー!!?おいてくよー!!」
ちょっと見ないなーと思ってたら、何故か望花と美月くんはさっきいた場所でいじいじしてた。
……何があったんだろ??もー、こう言うとこが子供っぽいって言うか〜…。
「…ちょっとやりすぎたかもね。」
「…ライバルはすくないに越したことはない。」
「……アリスは僕のだからね。」
「俺のだよ……?」

「……さっきからみんなして何の話してんのよ…。」
「アリスには関係ないお話…。」
「馬鹿にはわからないよ…。」
口元にうっすらと微笑を浮かべる双真と双菜を見て、あたしは首を傾げた。




+あとがき+
と、言う事で双子でした!
いざ元の不思議の国のアリスを見ると双子キャラがいたことに気づき、「ふ、双子キャラは是非出さねば!!」と、
急遽登場させたキャラ。なので設定も今日できたばっかりのできたてほやほやです(笑

アリスは同人の事になると同人用語がかなり飛び交ったり妄想したりする癖に、
自分がいざ逆ハーレム的状況に置かれるとかなり鈍感になります。(笑)
そう言う意味では色恋沙汰には弱いのかも…?

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