| 「…よしっ」 綺麗なドレスを身にまとう小さな少女は右手に『何か』を握るとベッドから飛び起きた。 彼女こそがエルデスティラ国王の愛娘であり、第二王女ティア・エルデスティラ。 ――城内を走るな。王女たる者、身だしなみは整え、気高く振舞うべし。 何度も何度も教育係に言いつけられていたが、ティアにはそんな言葉は脳内に入っていない。 (だって私、かたっくるしいの嫌だもん。) ドレスの裾を持ち上げると向かうべく部屋へとダッシュする。 向かうべくは――父上の部屋。 #01,破天荒王女の旅立ち 「ティアも立派な王女になったもんじゃ…。」 部屋に飾られているティアちゃん成長期と言う名の写真を一つずつ見ながら国王は小さく呟いた。 因みにこの親ばか国王に今のティアの何処がどのように成長したんだよと言う突っ込みは通じない。 なんたって、親ばかなんだから。 そんな国王の部屋が控えめにノックされた。 …ティアだ、と国王は悟る。 「入ってきなさい?ティア。」 「はい、失礼します、お父様。」 控えめにドアノブを捻ると、ティアは国王に向かって小さく微笑んだ。 ナイスだティア。100%悩殺笑顔で国王の顔がにやけているぞ! …なーんていっている暇はない。ティアは国王にずいっと顔を近づけた。 「あのね、私お父様にお願いがあるの。」 「な、なんじゃ?ティア。」 国王さまの心臓、バクバク。 それに引き換えティアは何処からそんなテクニックを習得してきたのか。 …まぁ、ティア王女お得意の『天然』なのだろうが、ここまで来るとこれは計算なんじゃないか?と疑いたくもなる。 「えっと……。」 言葉に詰まるティア。 その時国王はティアが後ろに隠している物に気がつく。 「ティア?後ろの物はなんだい?」 「!こ、これは……。」 「ははは、私にも見せられないような物なのかい?大丈夫。私はティアの私物なら――」 そこまで言った所で、国王の言葉は途切れ、同時に体が倒れていった。 何故ならば、愛娘に殴られていたのだから。 「ぜぇ……はぁっ……ご、ごめんねお父様!大丈夫、みぞおちだから!」 にっこりと微笑むティア。右手には金属バッド。 このファンタジー世界に何故金属バッドがあるのかは置いといて。 国王を金属バッドでぶん殴った輩はなんと、第二王女だったのだ。 「だって早く王子様に会いたいんだもんっ!そのためには旅に出なきゃ!」 王子様――。 それはティアがまだ幼い頃に、名高い占い師から告げられた言葉から始まる。 "ティア王女は将来、素敵な男性と恋に落ちる事でしょう。" "その愛は未来永劫、揺るぐ事なく一生幸せな家庭を築ける事でしょう。" たったそれだけの予言だったが、夢見がちなティアにはとても嬉しい言葉だった。 ――が、16年経った今でもティアに『王子様』は一向に現れない。 そこで、ティア的思考が巡らされる。 (まさか、王子様は悪い魔王にやられかけているんじゃ…!?それで、私を迎えに現れないのね!?) …と。 (助けに行きたい…けど、抜け出してもお父様に直ぐバレるだろうし……。) ……んでもって。 (よーし、こうなったら急行突破よ!お父様の目さえ眩ませれば抜け出せるかも!) ………んなわけで、今に至る。 装備は万端。大き目のリュックサックを背負い、変装セットもばっちりだ。OneDayチケットだってあるぞ! やっぱりお約束の如く、何でこの世界にOneDayチケットがあるのかは内緒だ! 「よし、早速――」 「どこへ行くんですか?ティア様。」 ぎくっ!!と肩を震わせ、恐る恐る振り向く。 そこには――見慣れた従者が居た。 「か、カナン!!いつからいたのよ……。」 「たった今です。ティア様が居る様な気がして――それより国王陛下、どうなさったんです?」 小首をかしげながらカナンはティアに訊ねた。 カナン・ティアース。ティア専属の従者である。 ――良かった!幸いカナンは現状に気づいていないわ! しめた。と内心顔をニヤリとさせるとティアは笑顔を向けると、 「それがお父様ったら突然倒れちゃったのよ。風邪かしら…。」 「そうですか…やはり大変なのですね、国王と言う職業も…。」 カナンは哀れな者を見るかのような目で国王を見た。 ティアの言い訳もどうかと思うが、それに納得するカナンもカナンである。 しかし…よっしゃ、誤魔化せた!とティアが心躍らせるのもたった一瞬だけだった。 「ところでティア様。その右手の金属バッドは一体?」 「………あ。」 しまった!!凶器を処理するの忘れてた――!! 心の中で叫ぶが時既に遅し。 「…まさか――。あ!!ティア様――!?」 カナンが思いを巡らせている内にティアは窓から格好良く飛び降りた。 バレる前にずらかれ!!ティア王女流の教訓である。 幸い門番の見張りは昼食中。…ならこのまま、とりあえず城下町までダッシュだ! 公衆便所でサッと変装セットを身にまとうとティアはお得意の『ティアダッシュ』で城下町へと向かった。 +あとがき+ 何だよこの話は…!(笑)面白おかしく書きました。邪道ファンタジー。 何でファンタジー世界なのにOneDayチケットやら金属バッド、ついには公衆便所まで!?って言うとアレです。 ただのノリなので実際にはないんですよ!(笑) 待っているだけの王女より、こういう破天荒王女の方が好きです(笑)でもこれはやりすぎっ!(死 |
| TOP NEXT |