| 清楚な白い服が目立つ、聖・ヴェネツェル教会――。 そして常に神に仕え、己の魂までもを捧げる覚悟の上で成り立つ職業。 それが聖職者である。 #02,パーティ結成? 教会内でまた陰口を叩く声がひそひそと聞こえる。…丸聞こえなので意味はないが。 ここの神父様の息子さんいらっしゃいますでしょ?、ええ、知っていますわ、 そこの息子さんがまた…、 大体神に仕える身なのに黒い服なんて、ええ…不吉だわ……、 今日もお祈りの時間に居眠りをしたそうよ…、まぁ…なんと言う事を……、 そんな会話が色々耳に入ってくるが、この少年の性格ゆえ、黙っているのもなかなかムカつく。 「…あのさぁ。」 「!…あっち行きましょ…。」 むすっとした顔で陰口熱女に問いかける。二人の女は「げっ」と言うような顔をするとそそくさと少年に背を向けた。 陰口ねちねちオバタリアンを無事撃退した少年は深くため息を吐いた。 まぁ、陰口を叩かれる様なことをしているから仕方ないと言えば仕方ないのだが…。 この少年こそが、噂の『神父の息子』であった。 清楚な教会で目立つ黒い服と、ひときわ目立つ紅い瞳。 「はぁ…別にいいじゃん、服装くらいさー。」 正装は暑くてヤダ。大体あんなの着れるわけねーじゃん。 ふとさっきの女二人の陰口を思い出し、またため息が漏れる。 「…別に気にして、ねーけどさ……。」 実際、気にしてはいるのだ。意外にこの思春期の少年は色々ナイーブなのだから。 「セリシアー!」 「あ…。」 まだ幼さが残る少女の声が聞こえた途端、少年…セリシアはとたんに機嫌が良くなった。 ――ティアだ。ティアがまた城から抜け出して遊びに来てくれたんだ。 今日は何をして遊ぼうかな。そうだ、新しく見つけた散歩道でも教えようかな。 ティアの事を考えると、そんな楽しい気持ちが芽生えてくる。教会での出来事を忘れさせてくれるかのように。 だけど…今日は様子が違った。セリシアにはティアの顔が何だか真剣な物に見えた。 「ティア、どうしたんだ??」 「あのねセリシア、かくまって!!」 「……は??」 「カナンに追われてるかもしれないの!!」 「カナン…?ってお前の従者さんだよな。えっと…もっと分かりやすく……。」 「えっとね、私家出してきちゃったんだ!」 「………。」 少女の突然の言葉に、セリシアは沈黙した。 従者に追われてるって…?家出……??ますます分かりにくくなっているような気がする。 ティアの目はかなり真剣だ。…だが。 「家出って…お前仮にも王女サマだろ!?は、早く戻んねーとそれこそカナンが心配するって!」 「いーやー!!王子様を助けるの!!」 「また王子様…?そんなの居る訳ねーって言ってるだろ?」 「ううん!いるんだってっ!!絶対っ!!占い師さんが言ってたもの!!」 「………。…オレだって、お前の王子様くらいには……。」 「…ん??」 本当に小さな声で言いかけて、止めた。 そんな恥ずかしい事、少年には最後まで言葉に出来なかった。 「とにかく、王子様なんている訳ねーって!」 「む。セリシアの分からず屋ー!いいもんっ、私一人で探しに行くっ!」 「あ、おいっ!」 「ふんだっ!だってセリシアかくまってくれないならもう用はないもん。」 …ガーン! 『だってセリシアかくまってくれないならもう用はないもん。』 ティアのその一言はセリシアの心に大きく響いた。 それって…それってオレがかくまるだけの使い捨てみたいじゃねーかぁぁっ!?…と。 しかし良いのかセリシア。このままではお前の好きな女はお前から遠ざかるぞ!?と、セリシアの心の中で誰かが囁く。 セリシアおやめなさい!あなたなんかが王女様とつりあう訳ないでしょう!?と新しい声がセリシアの心の中で響く。 ――オレはどーすりゃいいんだよぉ!! 二つの謎の声にセリシアは惑わされるが、こうしている場合ではない。 外にはモンスターだっているんだ。それを戦闘に不慣れな王女一人だけにしておく訳にはいかない! 「ま、待てよ!オレも行く!!」 「…いいのっ?」 それまで不機嫌だったティアの顔が途端にパァァァと明るくなる。…本当に分かり易い娘だ、とセリシアはつくづく思った。 「じゃあねじゃあねっ、二人だけの秘密よ?王子様を助けたら直ぐ帰りましょうね!」 「わかってるって!」 「ティア様!!」 「「………。」」 さぁ旅立とう!!二人の愛の逃避行へ!!と再出発しようとした所で、今二人がいっちばん聞きたくない声が聞こえてきた。 あはは、幻聴かな?幻聴幻聴。聞かなかった事にしようとするが、それもまた無理な話で。 「…か、カナン……いつから……。」 「今です!城はパニック状態になってるんですよっ!?国王陛下は何者かにより撲殺されるわ、第二王女は行方不明だわっ」 …国王陛下は生きてます。 「今からでも遅くはありません!国王陛下のお葬式に…。」 …だから国王陛下は生きてます。 「それに…よりにもよってまたセリシアさんなんかと遊んで…。」 「なっ!?なんかとは何だよてめーっ!!」 「そーよカナン!セリシアは私のお友達ですもの!侮辱しないで!!」 「嗚呼ティア様…そんな方なんてかばわれて……。わかっていらっしゃるんですか? セリシアさんは町一番悪い噂が流されている子供なんですよ?そんな方と一緒にいたらティア様の評判まで…!」 「いいもん。だって王女になりたくてなった訳じゃないもん。」 「で、ですがティア様、ティア様の身に何かあれば私は…私は……!!」 「大丈夫よ!だってセリシアがいるもん♪」 ……ガーン!! 『だってセリシアがいるもん♪』 ティアのその一言は今度は、カナンの心に大きく響いた。 それって…それってまるでセリシアさんとラブラブイチャイチャー(謎)みたいな感じじゃないですかぁ!? 嗚呼カナン・ティアース一生の不覚です。こんな子供に先を越されるなんて……! ――私は…私はどうすれば……!! 『駄目だ、此処で挫けたらお終いだカナン!!あんなガキに先を越されて溜まるか!!』 今度はカナンの脳内で謎の声が聞こえてくる。 『カナン、惑わされないで!今ここで王女を連れ戻したらそれこそ好感度DOWN!ティア様EDは見れないよ!!』 また新たな声が聞こえてくる。…嗚呼、そろそろこの体もヤバいのだろうか。19歳にして幻聴だなんて……。 まぁそれは良い…。要はティア様がいて、私もいて、そんでもって好感度が下がらなきゃOK!! 何の恋愛ゲームの話なのだろうかは謎だが…次の瞬間従者は、とてつもない事を口走った。 「ではティア様、私もご一緒します!!」 「な!?」 「え、いいの?」 明らかに不満そうなセリシアと、途端にパァァァと明るくなるティア。 「でも本当に少しだけですよ?王子様が見つからなければ帰りますからね?」 「うん、うん!!それでいいの!!」 「…何だよお前。ティアはオレが守るんだから、別に城に戻ったって良いんだぜ?」 「そう言う訳にはいけません。子供の面倒は大人が見なければいけませんからね。」 「子供言うなぁぁ!!お前と4歳しか違わねーだろうが!?」 男二人の間で火花が散っていたが、勿論この鈍感王女は気づいていない。 ティアはただ、『王子様』の事だけを考えていた。 +あとがき+ パーティ結成?みたいな…(ぇ)後にもう一人加える予定です♪ カナンは笑顔で最恐かもしれません。でも本当に最強なのはティア様…。 あの二人を精神的にノックアウトさせるなんてなかなかのテクニシャンです(笑(待。 |
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