*Side-Misato&Tisato
柊深聡



「……嫌な邂逅、って訳かな?」
僕の呟きに、智聡くんは身構えた。
草の向こうにいるのは……僕らのほかの、参加者。
「――……琶鳥ッ」
「…!?」
「行くぞ、琶鳥……殺すんだ。」
「………わかった。」
向こうはひとしきり会話を終えたのか、こちらに姿を現した。
姿を見せたのは……ゲームスタート前にいた、黒髪の少年二人。
ああ…このコンビは…最年少の綾瀬ペアか、などとどうでも良い事に納得した。
一人はただのナイフ。そして……もう一人はスナイパーライフルを握っていた。
これは少々厄介な相手、かな。
「――深聡……。」
智聡くんが肩をほのかに震わせながら、僕の服の裾を握ってきた。
やはり形式として『死』を望んでいた智聡くんも、いざ『生と死』に
対面すると、恐怖するものだ。
パートナーの智聡くんが傍にいる……そうだ。これは一個人の戦いではない。
だからこそ……尚更、勝たなくてはいけない。
「大丈夫。」
「……?」
「君には、死神がついてるから最強だよ。」
「………、はい。」
安心させるように軽く手を握り微笑むと、智聡くんも安心したように軽く笑った。
その笑みはまだ、遠い日の智聡くんの笑顔とは程遠かったけれど、今まで僕に
見せる笑顔の中で一番、輝かしいものだった。
……だから、僕はこの笑顔を護るんだ。
「君達は、小学生かい?」
「……そうだけど、何か文句でも?」
僕の問いに、にこっと眼鏡じゃない方が微笑む。
少年の片手には血濡れのナイフ。…既に誰かを襲ったか。
「僕はこの殺し合いを主催する死神の一人さ。一応聞くけど…
『自害』と言う形で辞退してはもらえないだろうか?」
「愚問だね。」
「……そうか、残念だ。」
僕の問いに、少年は一発で拒否する。
こうなれば、道は唯一つ。
「美鳥、」
「…心配するな。勝つのは僕たちだ。」
「……ああ。」
彼らの会話と共に、僕と智聡くんも身構える。
……それは、戦闘の合図。
「片方は遠距離武器か……。琶鳥!そっちの方を殺れっ!!」
「分かってる!!」
「っ……!」
彼がそう指示すると眼鏡を掛けた少年の方は智聡くんに銃を向けた。
スナイパーライフル……。狙った獲物はそうそう逃がさない、優れものって奴か。
どうやら推理するに、あっちは一対一でケリをつけるつもりか。
……だけど、そうはさせない。智聡くんは、まだ戦闘には不慣れだから。
「まだ僕は一対一でやるとは聞いてないよ?」
口元に微笑みを浮かべながら僕は智聡くんをかばうように立ちはだかる。
向こうは勿論、智聡くんは僕の行動に目を見開いていた。
「…へぇ。死にたいみたい。……琶鳥、二人とも仲良くぶっ殺しちゃえ。」
「分かった。」

「……深、聡っ!」
「なんだい?」
「貴方の武器は、なんですか?…武器も何も、持っていないじゃないですかっ。
どうして……どうして自殺するような事言ったんですかっ…!」
心配げに呟く智聡くんを見て、僕は「ああ」と納得した。
つまり……智聡くんは武器の無い僕を戦えない、と思いこんでいるのだろう。
「言っただろう?」
「……え?」
小さく目を瞑ると、素早く魔法を詠唱し、死神用の鎌を取り出す。
「僕は死神だから、武器なんて不必要なのさ。」
冷たい笑みを浮かべる僕を見て、智聡くんは絶句していた。
……その顔は、本当に死神だったんだ、って顔だな。
こう見えても僕は優秀な死神さ。……だから。
「身体より大きな分、切れ味も抜群さ。」
「……っ!琶鳥!怯むなっ。大きさが大きさでも武器であることに変わりない!」
「ああ……っ!」
叫ぶ小学生の少年二人には、焦りの色が見える。
その焦りの感情が、君達の『負け』を決定付けているんだよ?
クス、と笑いながら僕は大きな鎌を振る。
其れは、彼らを殺す為じゃない。
「死を呼ぶ風よ、」
「ッ………!!??」
呟きながら鎌を振り続ける。
すると鎌から黒い風――魔法が生まれ、僕はそれを彼らにぶつけるように放った。
「う…あッ……!!」
普通の風じゃない。魔法で生み出した風なのだから、彼らは傷つき、宙を舞う。
「……強、い…。」
そんな様子を後ろで見ていた智聡くんは呆然と呟く。
智聡くんに怒られるかもしれないけれど、やはり彼にそう言われると嬉しかったので
ちょっとだけくるりと振り返って、ぱちりとウインクをした。
「死神のお兄さんにはねぇ、魔法と言う未知なる能力があるのさ♪便利だろう。」
言いながら、再び鎌を手に取り、倒れる二人の元へ歩み寄る。
することは、ただ一つ。
彼らは参加者。……早めに処分することに越したことはない。
でも――
「待ってっ、深聡!」
「……?」
彼に――…智聡くんに呼び止められ、僕は不思議に思って振り返った。
そこには何処か悲しげな顔を浮かべた智聡くんがいて。
「まだ……殺さないで。」
「……え?」
「………、行きましょう。暫くは動けないと思うから。」
「あ………そ、そうかい?」
彼の言葉に、僕は戸惑いながらも鎌をしまった。
……ああ、非常に残念だ。
折角の獲物だが、僕のパートナーの命令は『絶対』だ。
「命拾いしたね。そのままのたれ死んでくれるとありがたいな。」
「……喧嘩売ってないで、行きますよ。」
「分かってるよ。」
倒れる彼らを見下すと、僕と智聡くんは見慣れない道を再び歩き始めた。


あとがき
うひゃあ……!バ ト ル だ 。(……/←書くの自体は好きな人。
でも相変わらず表現力なくて凹みます。余裕のある深聡はお気に入り(笑



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