*Side-Kika&Tika
二条稀華


「この世界ってさ…。」
「あ?」
「やっぱTVとか…ないよね……。」
「………は??」
千華と二人で見慣れない道を歩いていると、不意に千華がそんな馬鹿な事を問い掛けてきた。
…今この状況で……TV…??
「あーどうしよう!僕さ、毎週チェックしてた番組あって…。」
「……アトリエンジャーか?」
「そうそうっ!次はようやくマリアドンとの決闘なのにー!!」
子供向け番組――所謂、戦隊物で千華は地団駄を踏む。
……馬鹿だ。限りなく馬鹿だ。
「こんな事になるなんて思わなかったから録画の予約もしてないんだよね〜…はぁ……。」
「…っていうかさ、お前何歳?」
「え、13歳だよ?あはは、稀華と双子なんだから同い年に決まってるじゃーん!」
にゃははと笑いながら当たり前、と言わんばかりに威張る
千華を見て、ため息を吐く。…どっと疲れた。
「そう言う事じゃなく…そろそろ戦隊物卒業したらどうだ…?」
「えー」
(一言……。)
「いいじゃんアトリエンジャー!ただの戦隊物だと思ったら甘いよ〜。
あれはね、キャラクター同士の複雑な人間関係が…。」
「あー、もういいわかったから。」
必死に語ろうとする千華を遮る。
……ダメだ。こいつの方が兄貴の筈なのに、話についていけない。
こんな日常的な会話してると――ダメなんだって、千華。
こんなありふれた話をしていると、
(今の現実を、忘れてしまいそうだから。)

「それでね〜、」
「はいはい。」
それでも止まることのない千華の話を、苦笑しながら聞く。
こんな平和な時間が、いつまで続くかさえも分からないってうのに…。
そんな事を思いながら歩いていると――、
「で、前回の話が――んぐっ!?」
(…千華、声を立てるなっ)
(ふぇ……??)
不意に、前方に人の気配がして、俺は思わず千華の口を塞いだ。
確かに、人の気配――此処で、俺達以外の人物なんて…一つだけ。
「……僕達以外の参加者、ですか。」
向こうも俺達の存在に気づいたのか、そう言うと近づいてきた。
薄い紫色の髪の綺麗な男――。一人は見覚えがある。スタート時点にいた、儚げな少年。
だけどもう一人の方――……あんな奴、あそこにいたか?
「へぇ、良いタイミングじゃない?さっき二人ほど殺さず終いだったわけだし。」
「……っ!」
こいつら……既に誰かを――奇襲したのか?
余裕のある片割れの男の言葉に、千華は顔を強張らせる。
「……千華をおびやかす奴は…殺すぞ。」
「おやおや、随分健気な事で結構だねぇ。」
ショットガンを懐から取り出すと、男に向かって構える。
それでも男は怯むことなく――寧ろ馬鹿にした風に笑った。
「……ま、待って…ください!!」
「…えっ」
もういつ戦いが起こってもおかしくない状況で、悲痛な叫び声が響いて驚いて振り返る。
そこには、今にも泣きそうな顔をした千華の姿が、あって。
「…千華!?」
「おや?どうしたのかな?」
「あのっ…お願いします、僕、この戦いに反対した意見の者です、だから!」
「…ふぅん?そこの彼は、やる気みたいだけど。」
千華の言葉に、男は俺に視線を向ける。
「稀華だって同じ意見の筈です、ねっ稀華!」
「……、千華が言うなら、まぁ。」
ああ、どこまで綺麗なんだろう、千華は。
やっぱり、俺とは違う。
千華を怖がらせた男を殺そうと、本気で思った俺とは大違いだ――。
千華の言葉に男は考え込む。ほのかに疑いの視線を含んで。…だけど。
「――深聡。」
「…うん?どうしたんだい智聡くん?」
ふと、それまで黙っていたもう一人の――大人しい方が口を開いた。
「信じましょう、彼らを。」
「…でも。」
「もし裏切った時は、貴方の鎌で首を抉り取ってしまえばいい。」

大人しい方は微かに笑いながら、綺麗な顔に似合わないとてもえげつない事を言う。
……なんか、タチわりぃな…。正直苦手なタイプだ。
「…まぁ僕もさっきの戦いで力が消耗した所だし……休戦といくかな?」
「わー!本当ですか!」
「はは、素直な子は嫌いじゃないよ♪よしよし。」
「「………。」」
にこにこ笑いながら千華の頭を撫でる男を無言で、大人しい方の男と共に睨みつける。

この野郎、調子に乗って千華の頭撫でてんじゃねぇよ、と。

「深聡、ロリコンみたいですからやめてください。」
「あまいなぁちーくん。こう言う場合ロリコン、ではなくショタコン、と表記するんだよ?」
「……どちらでも意味は同じでしょう。」
はっはっはーと笑う、無駄にテンションの高い男に、もう一人の方は深くため息を吐く。
…何だか、片割れが妙に哀れだ。
「でも一時だけだよ〜?僕らはあくまで殺しあう運命なんだから。」
「はい、それは承知の上です。」
「うん、物分りが良くて宜しい♪じゃあ自己紹介といこうかな。僕は深聡。」
「僕は……智聡です。」
テンションが無駄に高い方が深聡。大人しい方が智聡、とそれぞれ答える。
「深聡さんに智聡さんですね!僕達は――」


すっかり戦意の見えない相手に安心したのか、千華は笑いながら自分と、俺の事を話す。
正直、こんなんでいいのか?とも思ったが――
俺は何より、久しぶりに俺以外の奴とまともに話せている千華が見れて、心なしか嬉しかった。



あとがき
やっぱり二条兄弟、主人公の癖して一番平和です…!!(゜д(#○===(゜д゜*)O
おいおい、いいのかそれで……。(ぇ
あ、でも他のペアとの殺し合い以外の接触ってあんまり書けないんで楽しかったです♪♪


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