*Side-Kika&Tika
二条千華

「お前等には、最後の一人になるまで殺しあってもらう。」








――頭が痛い。



見渡せば牢屋のような所。
…此処は何処だろう。

(稀華も…一緒なのかな。)
そう思い、周りを見回す。
僕が会いたかった相手が見つかるには数分も掛からなかった。
「…千華……。」
「あ……稀華…良かった、稀華も一緒なんだね…。」
「ああ……。」
いつもより、素っ気無い返事をする稀華。
…そりゃあそうだ。ここが何処だか分からないのだから。

(…落ち着いて頭を働かせろ、二条千華ッ!!)
寝起きで、上手く働かない頭を拳で殴ってみる。…痛い。
僕が考えるにどうやら、僕らは何者かによって拉致されたんだと思う。
僕達のほかにも何人か男の子が居た。
それも…一人を除いて全員双子。



だけど、どうして?
僕らはこんな所にいるんだろう。



(怖、い……。)
分からないと、自然に恐怖が生まれる。
ほのかに肩を震わせていると、不意に手が握られた。
「……稀華?」
稀華、だった。
稀華は何も言わずに、僕の手を握ってくれていて。
(……稀華、らしいな。)
ぶっきらぼうなその優しさに、思わず笑みがこぼれた。
こんな時でも稀華は僕に優しくしてくれるんだから。
(稀華だけは、護らなきゃ。)
僕の、たった一人だけの弟、稀華だけは。
これから何が起ころうと、僕の手がもげようと足が飛ぼうと、
絶対に、絶対に護らなきゃ。

「おう、全員目ぇ覚ましたか?」
「……ッ!」
新しい人物の声に、全員がその声のした方向を見た。
…台詞から、察するに。
(この人が…僕たちを拉致した人だ…きっと……。)
それだけは、いくら頭の弱い僕でも分かった。
「突然で驚いただろう。ああ、お前等は実にラッキーだ。選ばれた者達だからな。」
「……選ばれた?」
唯一双子じゃない薄い青紫色の髪をした、綺麗な男の人が思わず聞き返す。
その問いに男はニヤリと唇を吊り上げて、言った。
「………死神に、さ。」
「……っ。」
非現実的な男の人の台詞に、薄い青紫色の髪をした男の人は顔を蒼くさせた。
…何か知ってる、のかな。良く分からないけど…そんな感じがした。
それよりも、それよりも
(……死神、って……?)

「驚くだろうが、ここは魔界だ。そして、俺達は死神。ほら、ご覧の通り。」
そう言うと男の人は背中に隠していたのか、黒い翼を広げた。
とても、信じられないけど…
……間違い、ない。あれは…ファンタジー小説にでも出てきそうな死神、そのものだった。
「闇に魅入られたお前等には、最後の一人になるまで殺しあってもらう。」
「……は?」
「言っておくが、ここは魔界。最後の一人になるまで人間界に帰る事は不可能だ。」
「…ちょ、ちょっと待てよ……。」
みんなそれぞれ驚きや絶望の目を見せる中、男に抗議する子がいたが男はそれを無視し続ける。
そんな様子にカチンと来たのか、高校生くらいの男の子は叫ぶように怒鳴った。
「殺し合いだとか死神だとかっ、未だに良くわかんないけどっ!!そんな非現実的な事認めないっ!!」
「ほう、口答えする気か、白端飛沫。」
「し、飛沫……やめて…。」
「息吹、お前は黙ってろ。…だって!ここには目の見えないたった一人の兄がいるんだっ!!
それに比べて周りは普通の人間だらけでっ。俺と息吹が勝てる訳ないだろ!?ハンデは――」
「そんなもの、関係ない。」
「なッ……!?」
言い切るような男の人の言葉に、飛沫と呼ばれた子は愕然とした。
「闇に魅入られるような、お前等がそもそも悪いんだ。」
「――ッ……そんなの……っ」
「飛沫、やめて。」
「……息吹…。」
男の言い分に勿論納得のいかない飛沫くんは更に反論しようとしたが、
すぐに飛沫くんそっくりの(さっき飛沫くんは息吹、って呼んでたっけ)お兄さんが止めに入る。
これ以上男に逆らうと命さえも危ない、と判断した為だろう。
息吹くんは片目に包帯を巻いていて、包帯の巻かれていない片目はとても虚ろだった。
…目が見えない、っていうのは本当…みたい。
「僕なら、大丈夫。飛沫さえいれば生きていけるから。」
「……息吹…。」
にこっと、包帯の下で笑う息吹くんに、飛沫くんは渋々諦めた。
「……さぁ、ルールは分かったな?言っておくが、俺達死神に逆らうような事をしたら即刻死刑だ。
お前等は嫌でも殺しあわなければならない運命なのだからな。」
「運命、ねぇ……。」
「…美鳥?」
不意に、そう呟く男の子が視界に入った。
…見れば、あれは確か…私立の小学校の制服…ってことは…小学生!?
あんなに小さい子までいるなんて……。
そして……僕は美鳥、と呼ばれた男の子の、歪んだ笑みを見てしまった。
(……まさか…?)
…ゲームに、参加しよう…なんて思っていない、よね…?あんな小さい子が…。
正直、あの子が分からなかった。
所詮は赤の他人。この殺し合いについてどう考えてるかなんて分からない…。
「今から名前を呼ぶ。…双子しかいないな。
一緒になって行動する者が多いのは目に見えてる。順関係なくバラバラに呼ぶぞ。」
(……げ。)
男の人の言葉に、心の中で思わずそう呟いてしまった。
……やだ、どうしよう…稀華と離れ離れになっちゃうっ……。
「まず…二条千華。」
「ぅ、わっ!?は、はいっ!!」
い、いきなり――!!??
怖い男の人の声に驚いて思わず叫んじゃった。
…うう、声裏返っちゃったしぃ…ってそんな状況じゃないけどさ…。
男の人から食料や水。そして…武器が入った袋を貰うと僕はこの場を出ようとした。
……その刹那。
「…千華。」
「……え?」
不意に聞きなれた声に呼び止められる。…声の主は、勿論稀華だった。
「絶対に、見つけるから。」
「……、」
「だから。」
早く行ってこい。と、自分が呼び止めたにも関わらず偉そうに言う稀華を見て、僕は笑った。
…そうだ、稀華がいるんだ。
稀華だけは殺させないから。

「僕も絶対に、稀華を見つけて護ってあげるからね!」
「…ばーか。」
満面な笑みを浮かべながら言う僕に、稀華は馬鹿にしたように呟く。
だけど、口元が微かに緩んでいた。


(…君だけは、護るからね。)
嘘なんかじゃない。絶対にまた君を見つけて、護るよ。
今はただ、稀華との再会を望みながら、僕は薄暗い牢屋のような場所から旅立った。


あとがき
と、いう事で!お久しぶりの更新すみません;
友達の響子ちゃんがTwinsの二次創作ゲームを作ってくれているのでやる気を取り戻した里村、頑張りました!v(単純な奴…。
うーん、Twinsはとりあえず小説版完結させたいなぁ…。主人公がきかちかコンビなので他の子達は死んじゃう事になりますが…;

さて、次からはようやく念願のバトルシーンが書けそうです♪(笑)相変わらず不定期更新ですが、温かい目で見守っていてくださいね…!



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