*Side-Misato&Tisato
柊智聡


(…僕の、所為だ。)
僕が、望んでしまったから、殺し合いが始まってしまった……。
闇に魅入られた者達同士の聖なる殺し合いだと、先ほどの男の人は言っていた。
信じがたい話だが、言葉どおりなのだろう。
今僕の両手には支給された袋…そして、その中に入っていた弓矢があるのだから。

冗談なんかじゃ、ない。

(僕さえ死ねれば、それで良かったのに……。)
人は誰しも、誰かに思われている。
それが例え、偽善だらけのこの世界であっても。
(だけど、僕にはそんな人いないからッ………。)
愛し愛されている人は生きなくてはならない。想い人のために。
だけど、僕は?



…答えは、不必要。
誰からも愛される事の無い僕は、いらないね。
「また勝手な事を。…君を想う人は身近にいると言うのに、君はそれに気づかないんだね。」
「………、」
苛立たしい声が聞こえた。
それは、紛れも無く『ゲーム』が始まる前…僕がまだ憎きあの世界にいた時、最後に見た人物。
…血縁関係は無い。僕に兄弟なんていない。
だけどその男は、忌々しい事に僕と同じ顔をしていた。
「……また、貴方ですか。」
「おやおや、僕随分嫌われちゃってるようだね。君のお兄さんだと言うのに。」
「僕に兄はいません。では失礼します。」
「あ。」
男に背を向け、歩き出す。
何なんだろう、この人。
僕なんかに構わないでほしいのに。
「おーい智聡くーん、待ってよー。」
少しおどけた口調で、その人はまた僕を呼んだ。
……けど、まぁ無視。
早歩きすればそのうち撒けるかな。
そう思い、僕は早歩きでその場を立ち去ろうとする。
が。
「わー無視?お兄さん泣いちゃうぞーっ。」
「っ……!!」
子供っぽい口調でその人は、僕の目の前に姿を現した。
……先ほど、背を向けたばかりなのに、どうして…?
「ふふふ。死神のお兄さんにはねぇ、翼と言う未知なる物があるのさ♪便利だろう。」
得意げに笑う死神の男。
……ああ、わざわざそれを使って飛んできた、ってオチ。
「……――馬鹿馬鹿しい。」
「……へ??」
「僕に関わらないで下さい。」

にこ、と笑みを浮かべ男に言い放つと、再び背を向ける。
……、なんだろう。何故か僕すごく苛立ってる。
「智聡くーん。」
(――……ああ、少しだけ理由、分かったかも。)
何度も何度も拒否してもついてくる死神。
……同じ顔をして馬鹿みたいな真似されるのが不愉快なんだ。
「あ、そうそう。今から僕の名前は深聡になったからね。君のお兄さんと言う事で♪」
「そんなの聞いてませんし、僕に兄はいません。」
「やー?生き別れの兄だったりして〜♪きゃっ♪」
「………、」
何か、個人的に気持ち悪い台詞が聞こえた気がするんですけど。
振り返るとそこには、綺麗な顔立ちに似合わず子供っぽい笑みを浮かべる死神。
そんな死神――…深聡を見ていると。
「………、はぁ。」
「な…ど、どうしたの智聡くん!?そんな盛大なため息…!幸せが逃げちゃうよ!?」
「貴方に呆れて、物も言えなくなったんです。」
何故だか凄く、全てが馬鹿馬鹿しく見えたんだ。


「で、何で貴方は僕についてくるんです?」
「あ、良いことを聞いてくれたね。それはねぇ、ずばり!皆双子ばっかりの中
君は一人だけだろう?戦力からして不利だと思った僕が君に助太刀してあげるって訳。」

別に……どうせ死ぬんだし、そんないらない気遣いいいのに。
にこにこしながら深聡は言った。
「貴方は死神なんでしょう?人間の僕なんかの力になっていいんですか。」
「………いいんだよ。」
「…?」
それまで子供みたいな笑みを浮かべていた深聡が、小さな声で言った。
そして見せる、何処か寂しげな笑み。
「どうせ僕はいらない死神。……このゲームも今回で終わりだからね。」
「…………そうですか。」
…すべては、意味の無いものなのに。
世界とか、生とか死とか、もうそんなのもどうでも良い筈なのに。
どうしてだろう。
心なしか、この人の事が気になる自分が悔しくも、いた。


あとがき
という事で!ようやく智聡と深聡がまともに出会えましたね…!!(待
深聡は智聡の言う通り綺麗な顔立ちに似合わず子供っぽい所がありますが、
死神ゆえ奥が見えないような、割と謎な奴だったり…。バトルになればもう一つの『顔』が出てくるかもです。
まだまだ智聡は深聡のこと警戒してますが、果たして仲良くなれるんでしょうか…(殴



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